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第320回:腰痛と戦う

病気や怪我による自覚症状による調査では、腰痛が上位となっており、誰もが経験する身近な症状です。原因は腰に問題がある場合だけでなく、職業、生活習慣などの要因が複雑に絡んでいます。そのため、原因疾患の有無を判断するために画像検査は重要です。
また、安全かつ有効な手術の施行には、適切な手術支援画像が必要となります。
現在、増加傾向にある骨粗鬆症においては、骨量の減少を早期に発見することで適切な予防に繋げることが可能と考えられます。腰痛と戦うための知識を手に入れましょう。

 


「The 腰椎CT ~手術に必要な画像をどう作る~」
明舞中央病院 森 貴広 技師

腰痛の原因となる疾患として、腰椎分離症・腰部脊柱管狭窄症・腰椎椎間板ヘルニアなどが挙げられる。腰椎分離症は第5腰椎に好発する椎弓の疲労骨折です。椎体に平行のスライスだけでなく、椎弓に平行のスライスを追加することにより分離の状態がわかりやすい。脊椎固定術(PLIF)は腰椎が不安定な場合に金属製のインプラントで椎骨を固定する手術で副突起からスクリューを入れるため椎弓根が一番広く左右対称に見えるようなスライスが必要です。疾患、術式、画像処理法を理解することで手術に必要な画像提供ができる。

 


「腰椎MRIを学ぼう」
大久保病院 川嶋 咲由 技師


腰椎MRIで椎間板、靱帯、軟部組織、脊髄円錐および脊髄神経がシーケンスごとにどのように見えるか理解することで疾患に応じた画像提供が出来る。椎間板ヘルニアでは脱出した髄核がどのような障壁を越えてどこまで脱出しているかが重要である。また、脱出の方向によって圧迫される神経根が異なるため、アキシャル像だけでなくコロナル像が役立つ。圧迫骨折は骨髄の信号変化として捉えられるので、圧迫変形が少ない場合でも早期に診断可能である。病的骨折は背面凸で後方要素への進展が高頻度に見られる。一方、機械的な圧迫骨折は直線状または腹側凸で液体兆候が高頻度で見られるため、鑑別可能である。

「骨塩定量検査 ~予防医学に活かしていくために~」
明舞中央病院 筧 翔 技師


骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版によると、DEXAを用いて腰椎と大腿骨近位部の両者を測定することが望ましいとされている。なぜなら腰椎は閉経後の女性で最も変化の見られる骨で海綿骨量が多く骨代謝が盛んな部位であり、また大腿骨近位部骨折は移動能力や生活機能を低下させるだけでなく死亡率を上昇させる生命予後と直結した骨折で両者の測定が必要である。腰椎測定時に下肢に補助具を入れて前彎を是正すると正確な椎間設定が可能である。骨密度の診断基準は YAM(若年成人比較%)で行われ、80%以上が正常、70~80%が骨減少症、70%未満が骨粗鬆症である。骨折を予防し、健康長寿のためにDEXAによる骨塩定量検査は重要である。

第319回:診る・読む 呼吸器科 ~胸部CTを中心に~

CT装置の進歩はめざましく、今日では、マルチスライスCT全盛の時代になりました。
そのメリットは広範囲の高分解能画像が短時間で撮影できることにありますが、一方でデータ量の増大や1回の検査における撮影範囲の拡大などの問題点もあげられます。
今回は胸部を中心に、いかに診断に寄与し病態に迫る画像を提供できるかを「考え」ながら撮影するために必要な知識の習得を目指し研究会を進めていきました。

 

 

挑戦!肺区域の理解
北播磨総合医療センター 前田 峻太 技師

 

CTの撮影において、解剖の理解が大切であることは言うまでもないが、肺区域を十分に理解することは簡単ではない。区域ごとのカラー表示など独自に工夫した画像を作成し、肺・区域・気管・気管支及び導管部までの詳細な解説をして頂いた。また、気管支体操を交えることで、肺区域を立体的に把握することができるようになり、肺CT画像への理解へ繋げることができるものであった。

 

 

孤立性結節
明石市立市民病院 清水 則善 技師

 

胸部の孤立性結節は、日常的に遭遇する病変の一つである。肺がんや良性結節の多くを占める結節影で、GGNも孤立性結節として見つかる。良悪性の鑑別ポイントは、形態、大きさ、内部性状、周辺所見及び経時的な変化があげられる。良悪性の鑑別は難しく、判断に苦慮する症例も多い。しかし、CTでほぼ診断できる結節や高い確率で良悪性の推定が可能な結節も多い。CT撮影時に技師が発見し、診断の参考となる画像を提供することが重要である。

 

 

すりガラス陰影は何を診せてくれているのか
明舞中央病院 羽田 安孝 技師

 

淡い陰影=すりガラス陰影と思いがちだが、必ずしもすりガラス陰影に限定されるものではない。「すりガラス陰影を診る=すりガラス陰影の成り立ちを理解すること」と考える。
すりガラス陰影は、薄層CTにおける淡い吸収値の上昇の所見を指す。病理学的には、主に肺胞隔壁の肥厚と肺胞腔の不完全な充満を反映している。すりガラス陰影を呈する疾患は多岐にわたり、画像のみで鑑別が困難な場合も少なくない。CT halo sign やcrazy-paving appearanceなどの特徴的な所見による疾患の絞り込みや、各疾患の臨床病理学的特徴にも精通することが必要である。

第318回:急性期脳梗塞 ~診断から治療へ~

高齢化社会を迎えた現在、脳卒中の発症は減少したとは言えず有病率は増加しています。脳梗塞と脳出血は全く違う病態ですが、現れる症状にあまり大きな違いはなく、脳細胞が損傷を受けた部位で異なります。急性期脳梗塞の初期診断は、病歴や神経学的所見などからなされますが、確定診断に画像診断は必須です。画像所見は脳梗塞の臨床病型診断や病態評価はもちろん、治療法選択にも大きく貢献します。今回は、神戸頭部研究会とのコラボ企画とさせていただきまして脳卒中の診方から最新治療まで勉強していきたいと思います。

 


「脳卒中 ~知っておいてほしいこと~」
明舞中央病院 須賀 俊夫 技師

脳卒中には脳梗塞と脳出血がある。少し前までは脳出血が多く、脳梗塞は少なかったが、高血圧の治療の進歩と食生活の欧米化に伴って、現在では脳梗塞が多くなり、脳出血は少なくなった。脳卒中の画像診断には迅速性・出血の検出に優れるCTが第一選択である。
脳梗塞には心原性脳梗塞・アテローム血栓性脳梗塞・ラクナ梗塞があり、梗塞の範囲は心原性>アテローム血栓性>ラクナの順に大きくなる。Early CT signはHyper dense MCA sign(中大脳動脈の血栓を反映した高吸収構造を認め、同部より末梢血管も血栓化を反映して高吸収になる。)、レンズ核の不明瞭化・島皮質の不明瞭化・皮髄境界の不明瞭化・脳溝の消失があり、灰白質の軽微な吸収値低下と大脳皮質の軽微な腫脹に伴う変化とされている。見つけるコツとして片側だけを見るのではなく、左右を見比べることや、WWとWLを調節して見えやすくすることなどが挙げられる。

 


「急性期脳梗塞 ~治療最前線~」
吉田病院 森 勇樹 技師

ラクナ梗塞とBADは似て非なるもので、鑑別が重要である。検査ではアキシャル画像だけではなくコロナル画像を追加することで病変の連続性が解りやすくなる。
 “Time is Brain”と言われるぐらい脳梗塞は時間との闘いである。発症4.5時間以内であればt-PAを使って治療が可能であるが、再開通出来ないことも多い。次に血栓回収デバイスで血栓を取り除く治療が行われる。再開通後はペナンブラを救ったり、再発予防目的で点滴療法が行われる。4.5~6時間以内では血栓回収療法、6~16時間以内でICA/M1閉塞で血栓回収療法、発症時間不明の場合、FLAIRにて梗塞巣が明瞭でなければ血栓回収療法が考慮される。
血栓回収デバイスは、ワイヤー型・吸引型・ステント型と進化し再開通率は90%程度に向上し、安全性も高くなっている。脳梗塞のサインは「FAST」と呼ばれFはfaceで片側の顔がゆがむ、Aはarmで片側の手に力が入らない、Sはspeechでろれつが回らない、言葉がでないなどの症状を表す。Tはtimeで発症時刻を表す。最近の流れとして、FASTが現れたら画像検査なしで専門施設への搬送をためらわないことで治療成績が上ってきているが、まだまだ少数であり、医療連携・地域連携が重要である。

第317回:知る!読む!循環器科 ~心臓検査を理解するために~

現代、病気の診断や治療に欠かせない「画像診断」ですが、診断装置の中でCT、MRIは主力といえるモダリティと考えます。心臓の画像診断法としてもその力を発揮しています。装置や撮影技術の急速な進歩で不得意な部分が改良されて心臓の検査でも両方法の長所を生かして注目を集めています。心臓の画像診断には、他にもエコー検査や核医学検査などあります。今回は各モダリティの役割を理解し分担し、精度が高く、患者に優しい検査を提供できるように研究会を進めていきました。

 


「心電図 読み方・波形を拾うコツ」 
西江井島病院 智口 知美 技師

心電図は循環器疾患において基本の検査であるが、その読み方は簡単ではない。
まず、心電図波形の意味(それぞれの波形がどの興奮過程を表しているか)を理解し、その変化によって心臓の状態を診ていくことになる。
今回は、不整脈と虚血性心疾患から代表的ないくつかの症例をあげて、心電図の基礎や波形を拾うコツなどを講演して頂いた。虚血性心疾患では、電極位置から障害部位の推測が可能であり、特徴的なST変化は障害の範囲(心内膜側か、心外膜側までか)を反映する。

 

  

「冠動脈CTの基礎」 
明石市立市民病院 山内 友輔 技師

冠動脈CTのメリットは検査時間が短く、冠動脈の解剖学的情報が取得でき、除外診断の信頼度が高いことである。そのため、カテ前のシミュレーションやPCI後の経過観察でも利用されることが多い
造影剤禁忌や腎機能の悪い患者、冠動脈に高度石灰化を伴う場合の造影検査は難しいが、CAGと比べて侵襲性が少なく、陰性的中率は98%と高い。冠動脈CTで有意狭窄が認められなかった場合は、冠動脈狭窄をほぼ否定することができるため、安全性やコスト面でも冠動脈CTは積極的に活用されている。

 


「心臓MRI 最新技術紹介~症例を交えて~」
北播磨総合医療センター 後藤 吉弘 技師

 

心臓MRIのメリットは心臓の形態や機能を精度良く表現できるところにある。心臓の容積や心筋を描出し、それらを基に駆出率など心臓の機能を評価することができる。心臓超音波検査の場合どうしても死角ができるが、心臓MRIの場合、撮像断面に制限がなく死角を無くすことができる。また、心臓核医学では描出できないような高い分解能をもっているため、心内膜下の出血や梗塞の診断に長ける。古い梗塞や線維化、急性期梗塞など炎症を示唆する浮腫の所見まで拾うことができ、現在の循環器の画像診断においてMRIは欠かせないモダリティの一つです。

第316回:知る!読む!整形外科 ~膝関節を徹底分析そして実践へ~

現在、日本は世界で最も高い高齢化率となり、超高齢化社会を迎えています。その中で、膝関節疾患は予防や治療に力を注がれなければならない重要な疾患の一つです。
動作能力の障害は、ADLそしてQOLにまで影響を与えます。早期診断だけでなく手術内容の決定にも画像診断は重要となります。一枚の画像の中にも診るべきポイントがたくさんありルーチン撮影において安定した画像を提供することはとても大切なことです。整形外科医がどういう写真を求めているかを理解して撮影できる、実践的な知識を学んでいきました。

「膝関節撮影の画像読影における計測とチェックポイント」
~インプラント挿入後の撮影を中心に~
明石市立市民病院 岩井 良太 技師

 

膝関節撮影に関わる必要な知識として膝関節OAが起こるメカニズムや術式の検討方法そして、実物のインプラントを見ることで、とても内容がイメージしやすい発表であった。
読影ポイントとして3点が挙げられる。

  • clear zone(骨透亮像)や骨硬化像の有無による弛みの評価として正面像においては脛骨ベースプレートと脛骨の接する面、側面像においては大腿骨コンポーネントと大腿骨の接する面及び脛骨ベースプレートと脛骨の接する面

  • インサートの摩擦評価として、正面・側面共に関節間隙(FT関節)の幅

  • 全下肢立位撮影でアライメントの評価として、FTA・ミクリッツライン

を確認しなければならない。

これらのポイントが描出できるように撮影技術を身に付け、膝関節撮影への苦手意識を無くしていければ嬉しく思います。

「安定した画像提供を可能にする膝関節X線撮影ポジショニング理論」
三菱神戸病院 高井 夏樹 技師

 

一般撮影での軟骨部の評価は関節間隙の幅を計測して行う為、計測に適した正側面の正確性と再現性が求められる。さらに、骨のスクリーニングや経過観察の点からも安定した描出が重要となる。以上から膝関節においての正確なコントロール方法に重点を置いた解説を頂いた。
膝関節の正面像・側面像の判断基準や撮影時の体表指標、膝関節内側の前方と後方の見分け方・再撮影のヒントを踏まえ撮影をしてほしい。
一般撮影のメリットとして、

  1. 三次元の構造体を、二次元投影像で表現でき、全体像として観察に適している。

  2. X線を用いるモダリティの中で被ばくが最も少ない。

  3. ストレス撮影や立位による荷重撮影が可能。

  4. 人工関節のアーチファクトの影響がすくない。

一般撮影でのポジショニング理論の習得は、CTやMRIのポジショニングやCTのMPR作成、MRIのプランニングにも共通する基礎となる重要な技術である。

第315回:医療情報の標準化  ~人とコンピュータのコミュニケーション

最近では診療のほとんどが電子化されています。このようなシステムは、診療の精度の向上や効率化などを目的として急速に進められています。我々が日頃目にする「電子カルテ」は、病院情報システムの一つの機能に過ぎず、内容や規模はそれぞれの病院によって異なりますが、総合的・複合的なシステムが病院情報システム(HIS)と呼ばれるものの実態です。
多くの病院では専門スタッフがおらず、通常業務との兼務でシステム導入や運用において、適切な対応・マネジメントをするのが非常に困難なのが現状です。今回は、この分野の基本的な知識に触れ、機会を見つけて情報を得ることを目的に勉強会を進めていきました。

「システム構築における診療放射線技師の責任」
明舞中央病院 半蔀 英敏 技師

 

現在、診療放射線技師の国家試験の中にもデジタル構築の問題が出題される。学問として取り入れられている状況において現場で働く診療放射線技師は電子化を軽視していないか。電子化の管理業務は、病院にSEが常勤でいる場合は連携をとり進めていくものであるが、そうでない場合は我々がその役目を担うことが多いため、内容をどこまで理解しているかがkey pointとなる。管理業務はモニター管理を始め、サーバーの容量、モダリティへの接続、機器の更新、トラブル回避・改善・修理など多岐にわたるため一筋縄ではいかない。システム構築は我々のライセンスの知識だけでは完成が難しいとはいえ、やはり怖いのは無知により業者に騙されることである。システムは我々の為に便利でなければ意味がない。医療界の電子化は業者を信用して任せるのではなく、できる事・できない事を整理し、各施設がより良いシステムとなる方法を見つけることにある。

 

 

「病院情報システムの導入と運用の実際 ~当院の4年間から~」
明舞中央病院 システム管理担当 竹中 孝和 先生

 

今回は、病院情報システムの導入や運用について、当院の実例を交えての講演であった。病院情報システムとは相互接続された複数の病院用業務システムが協調動作で形成するまとまりの全体であり、様々な構成要素から成り立つ。ただし、DICOMを除いては、標準規格の普及はまだまだの状況である。
業務ルールの案出・策定においては「ゴールデンルート」を探す事を意識し、地道な修正、改善を行うことで成功に導くものである。正しい修正・改善は裏切らず、全体への貢献として実を結ぶと考える。システム導入はプロジェクトであり、病院側もシステムに関する知識を学ぶ事が大切である。

第314回:知る!読む!泌尿器科 ~腎疾患を中心に~

腎臓は体液恒常性の維持という大切な機能がありますが、その理解にやや苦手意識を持つ人は多いのではないでしょうか。泌尿器科では、腎臓以外にも対象臓器があり多岐にわたる疾患を扱います。主に画像で直接「診える」疾患を中心に、内科的性質の強い「腎臓疾患」と外科的性質の強い「泌尿器疾患」の両面から研究会を進めていきました。

 

 

「当院で経験した泌尿器科の救急疾患」

明石市立市民病院 中村 規 技師

泌尿器科の救急疾患として気腫性腎盂腎炎、陰茎損傷、腎嚢胞破裂、褐色細胞腫、腎損傷などの症例を中心に検査時の工夫や画像の診かたなどを発表された。
特に興味深いところで副腎クリーゼ(急性副腎不全)があった。各種の脳、心血管系疾患が基礎疾患となり、内分泌疾患で褐色細胞腫が最大の原因で“褐色細胞腫クリーゼ”と称する。副腎皮質から分泌される副腎皮質ホルモンは、当分の代謝や水分・電解質のバランスに関わり、ストレスに対抗して体の働きを調整する重要なホルモンである、この分泌が急激に不足すると副腎クリーゼの状態になる。全身の倦怠感、食欲不振、脱力感などが前兆として認められ、腹痛のなどの腹部症状が現れ、急速に脱水症状、血圧低下、意識障害、呼吸困難など重度の障害へ進む。急性副腎不全が疑われた場合、ホルモンの検査結果を待たず治療に取り掛かる必要がある。早期に診断できれば、短時間で軽快する。

 

 

「苦手克服!腎臓を読み解く画像検査」
明舞中央病院 羽田 安孝 技師

今回は、1. 腎臓に多発する楔状低吸収域をどうとらえるか 2. なぜ腎腫瘍の鑑別が必要なのか 3. MRIの何を診るか 4. 腎腫瘤を見た時の思考順序 5. 腎臓が多臓器にもたらす影響についての発表であった。

  1.  “造影不良域=炎症”とは限らないので、疾患に特徴的な画像所見はもちろんのこと、尿路感染症との鑑別も含め診られるようになること

  2. 疾患によって治療法、治療方針、治療薬が異なるため画像診断が重要となる

  3. MRIでは、撮像シーケンスにおける信号強度の変化に目を向けていく

  4. 腫瘤を読影するチェックポイントとして造影パターン、脂肪の検出、偽被膜、均一性、浸潤の有無を診る必要がある。それが“膨張性”か“浸潤性”なのか、その他嚢胞ならBosniak分類で確認していかなければならない。

  5. 腎臓の機能低下により、心不全、呼吸不全などを引き起こすことも理解しなければならない。

第313回:知る!読む!脳神経外科 ~脳血管障害~

脳血管疾患は脳出血と脳梗塞の2つに分類されます。共通することは脳を栄養している頭蓋内の血管に異常が起こることで、出血による炎症や圧排、または虚血により脳組織が障害されます。CTやMRIは脳血管疾患の診断に欠かせないモダリティですが、得手不得手があります。それぞれの機器の特性や画像の特徴を理解することで、緊急性の高い病態への対応も可能となります。近年ではワークステーションによる画像解析も進歩し、日常診療においても必須のツールとなっています。基礎的な使い方はもちろん、応用テクニックも使いこなせるようになりましょう。

 

 

「必勝!ワークステーション使用方法」

アミン株式会社 井上 浩史 様
 

Ziostation2は、臨床に役立つ様々な鮮明で高精細な画像を提供します。血管抽出や骨除去などの自動処理や便利なツールにより容易に精度の高い画像を作成することが可能です。ザイオソフト独自の三次元形状認識技術『RealiZe』により、CT値差の少ない脳動脈と静脈を自動で分離することができる脳動静脈自動分離機能や血流解析を用いた脳動脈瘤の術前評価など最新技術も交えながらワークステーションの使用方法を解説した。

 

 

「撮って診る!脳血管障害 ~CTを中心に~」

明石医療センター 杉本 優那 技師
 

脳血管疾患でCTの果たす役割は大きい。特に脳出血の検出に優れている。高血圧性脳出血では出血の部位、血腫量により手術の適応が決まるため、解剖と血腫量の推定法の知識が必要です。くも膜下出血は脳動脈瘤の破裂によるものが最も多く、死亡率や後遺障害を残す確率がきわめて高い疾患で、迅速な治療が求められる。3DCTAは低侵襲で脳動脈瘤の場所や形を把握できる利点がある。脳圧が亢進している場合、ボーラストラッキングのモニタリング位置を通常の総頸動脈部ではなく頭蓋内の内頸動脈終末部付近にすることで精度の高いCTAが構築できる。

 

 

「脳血管障害について ~MRIの観点から~」

明舞中央病院 筧 翔 技師
 

脳出血の経時的なMR信号変化はヘモグロビンの性状変化を表しており、T2WIとT1WIの信号強度の組み合わせから病期を判断できる。脳梗塞の経時的変化はT2WIとDWI、ADCを組み合わせて判断する。またDWIが等信号の期間は偽陰性になりやすく注意が必要です。症例ではRCVSの紹介があった。多発性の血管収縮を認め、収縮部位と拡張部位が連続する数珠状所見が特徴的な疾患で、MRAの撮像範囲を末梢血管まで広げる必要がある。椎骨動脈解離では斜台に平行なBPASを追加することで診断に役立つ画像提供が行えます。

第312回:知る!読む!消化器科 ~腹部CTを中心に~

腹部領域のCT撮影では、低ひばく撮影条件下において、病変の存在やその形態、周囲への進展、疾患の鑑別を確定診断とすることが求められる。今回は実際の撮影においての注意点・必要な基礎知識について研究会を進めていった。

CT撮影時に知っておくべきこと 
明舞中央病院 森 貴広 技師


CTの撮影において、検査前・検査中・検査後のそれぞれにおいて注意すべきことや、演者の技師歴が浅いからこその不安や、検査が問題なく遂行できたことの感動を伝えてもらいました。問題なく検査を遂行するには検査前の準備がいかに大切であるか、検査内容の把握、物品の準備、撮影プロトコル、撮影範囲の確認など挙げればきりがなく、しかも一貫して患者の状態の把握も忘れてはならない。それらの事をふまえ、検査時には自問自答を繰り返し、CT撮影を遂行するべきと考える。

腹部CTの撮り方と診方 消化器 ~肝・胆・膵を中心に~ 
明石市立市民病院 清水 則善 技師


腹部CT撮影において、単純撮影も含め造影撮影は不可欠なテクニックであると考える。
TECの考え方や各臓器の血行動態も考慮してプロトコルを決定する必要がある。
肝臓の基本撮影は単純と造影3相の撮影となるが、場合によっては造影4相撮影や門脈相だけでも良いとされることもある。胆のうを目的とする場合は、MPRを駆使することで誰もが理解しやすい画像を作成する必要がある。膵臓では、急性膵炎のグレード分類において造影CTが大きな役割を担っている。病態によっては患者の予後に関わるので、検査内容を把握し適正な被ばくで最大の効果をあげなければならない。

 

腹部CTの撮り方・診方 ~管腔臓器編~
大久保病院 川嶋 咲由 技師

 

管腔臓器の造影CT検査では、病変周囲の描出はもちろんのこと、術前計画に必要な血管走行などの描出も依頼される事がある。検査時は検査内容の把握と、主治医や執刀医とディスカッションを重ね、必要な画像提供について一歩踏み込んで行くことも大事であると考える。
特に大腸の検査では、炭酸ガスを用いるなど撮影に技術を要する場合もあるため、検査をスムーズに遂行するためにマニュアルが整備されていることが望まれる。画像解析においてもワークステーションに大腸解析ソフトが必須となるため操作の簡便性が望まれる。

第311回:知る!読む!循環器科~静脈血栓塞栓症~

いわゆるエコノミークラス症候群は、現在ではよく知られるようになった言葉です。

飛行機の長時間の搭乗や震災などで話題になりましたが、これは珍しい病態ではなく日常診療とも深く関わっています。循環器科での治療がメインになりますが、他の診療科においても早期発見は重要となります。静脈血栓塞栓症の診断にはさまざまな検査法があり、通常はエコーやCT、RIなどが多く用いられています。病態はもちろんのこと、モダリティの特徴や重要性を理解することが、迅速な診断へつながる第一歩です。

「静脈血栓塞栓症とは」
明石医療センター 下澤 秀輔 技師


静脈血栓塞栓症の概念、病態、原因、検査等幅広い内容をコンパクトに解説した。Virchowが提唱した血栓が形成される①血流の停滞②血管内皮の障害③血液凝固能の亢進の3徴と後天性因子(各種手術・検査・治療、長期臥床など)は入院患者のほとんどが危険因子を有していることになり、予防が非常に重要である。深部静脈血栓症の好発部位は左腸骨静脈とヒラメ筋静脈でなかでもヒラメ筋静脈から中枢へ進展して大きくなった非閉塞型浮遊血栓(フリーフロート血栓)は肺塞栓を起こしやすい塞栓源として知られている。また最新技術であるSpectralCTの紹介があり、造影剤のみを反映した画像は肺血流シンチのようで今後に期待が高まった。画像を撮って終わりではなく異常所見がないか見直すことが大切です。

「エコーで診る深部静脈血栓症」
明舞中央病院 岡田 陽子 技師


深部静脈血栓症の画像診断の第一選択としてエコーがあります。侵襲度が低く、安価で繰り返し検査できる利点は大きい。血栓は時間が経つほど輝度が高くなるため新鮮血栓は見えにくく圧迫法(圧迫して静脈が虚脱collapseしないと血栓あり)で確認する。カラードップラーを見ながら遠位の筋肉を押し(milking)血栓周囲に色がつくか見る(静脈検査の場合、動脈検査よりも低流速の感度を上げた設定が必要)。症例では典型的な深部静脈血栓症、鑑別として表在静脈の血栓性静脈炎(先に炎症が起こり、血栓ができる)を挙げて解説した。

「静脈血栓塞栓症の診方・撮り方」
六甲アイランド甲南病院 福田 正輝 技師


静脈血栓塞栓症は肺血栓塞栓症と深部静脈血栓症を合わせた疾患であり、CTは両者を一度に検査できるため、画像診断の中心になっている。X線写真で特徴的なサインとして肺動脈の局所的な拡大(knuckle sign)、肺血流シンチでは肺門部方向を頂点とする楔状陰影欠損など肺血栓塞栓症の読影について解説した。CTの所見として血栓は肺動脈内の造影欠損として認められ、急性では浮遊して見える。慢性では肺動脈から鈍角に立ち上がり壁に接する血栓を認める。急性・慢性ともに右心系の拡大を認めることが多い。造影CTの撮影タイミングはボーラストラッキングでは卵円孔が開存していると肺動脈よりも大動脈が濃く造影されるため時間固定で行っている。迅速な診断につなげる適切な画像提供が求められる。

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